« 2006年5月 | トップページ

2006年11月26日 (日)

『Breath Less』迷言集 final

 迷言集finalです。一応。
 リクエストがあれば喜んでアップしますよ。

○S#84 ビル街の街角──

  長 峰「吉岡」
  恵美子「はい」
  長 峰「怖くないか」
  恵美子「怖いです」
  長 峰「よし、ションベンちびるなよ」
  恵美子「はい、ちびりません」
  長 峰「よし、お前看板屋むいてるぞ」
  恵美子「そうですか」
  長 峰「高いところを怖がらない奴はすぐ落っこちやがる」
  恵美子「なんか人生みたいですねえ」
  長 峰「生意気言うな、バカ」
  恵美子「すいません。……親方」
  長 峰「何だ」
  恵美子「『仙人』読みましたか? 龍之介です。芥川」
  長 峰「文学にいそしむ青年期を送っていたら違う人生があったかもしれん」
  恵美子「クー(と奇声を上げて)、親方」
  長 峰「しゃべってないで、手も動かせよ」
  恵美子「はい。何か聞こえませんか」
  長 峰「……そりゃお前、街が呼吸してんだろう」
  恵美子「ふう~ん……親方」
  長 峰「うるせえな、何だ」
  恵美子「かっこいいですよォー」
  長 峰「バカタレが!」

| | コメント (10) | トラックバック (0)

2006年11月25日 (土)

『Breath Less』迷言集 vol.13

 大阪・第七藝術劇場での上映が終了しました。
 ご覧いただいたすべてのみなさま、ありがとうございました。

○S#76 徹が刑事課の入口で立ち止まる

   徹 「なんだよ、お前」
  真 理「看守室のぞいたらこっちだって」
   徹 「制服はどうした。警察なめんなよ。補導するぞ」
  真 理「もう大学生だぞ」
   徹 「偉そうに。ユウウツとキュウクツを漢字で書いてみろ。書けないだろ」
  真 理「抗欝剤でも飲めば。心が栄養失調なんだよ」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月24日 (金)

『Breath Less』迷言集 vol.12

 このブログのコメントで、わざわざ富山から大阪へ観に行ってくださった方がいらっしゃることを知った。
 東京での公開時も各地から足を運んでくださった。
 こういう方々にぼくは支えられている。もっともっとステキな映画を作ろう、と決意を新たにした。
 きょう(24日)で大阪上映が終わります。
 ご覧いただいた皆様、そしてきょうご覧になる予定の方々、ほんとうにほんとうにありがとう。

 今夜はshironさんのリクエストに応えて──。

○S#53 活魚割烹・店内

   徹 「いやあ、死ぬ前にもう一度会いたくて。ここで会えてうれしいッス。ホ
      ントよかった」
              と、恵美子のテーブルへ寄っていく。
  服 部「なんだね、君は」
   徹 「(恵美子に)明日、デートしましょう。水族館。ペンギンが愉快なんです。
           氷にペタンとくっついちゃって、もうやってられないって顔して。それに
           マグロ。円形の水槽をガンガン泳ぎまくって。あいつら止まれないじゃ
           ないッスか。目まわんないのかなあ、ハハハ」
  服 部「なに言ってるんだ、お前」
   徹 「あれ、こちらのおじさん、恵美子さんのお父さん? ちっとも似てないね。
          (服部に)お前なんて呼ぶなよ」
  恵美子「帰ってください」
  服 部「君ッ(と店員を呼ぶ)」
              店員たちが徹を引きずっていく。
   徹 「騙されちゃいけませんよ、恵美子さん。おい、引っ張るなよ。恵美子さん、
      明日、水族館。いいですね。やめろよ、怒るぞ。じゃあ恵美子さん、また
           明日」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月23日 (木)

『Breath Less』迷言集 vol.11

 Harumiさんからリクエストをいただいたので、喫茶店のシーンを。
 ただこのシーン、8ページを越える長いシーンなので抜粋します。

○S#27 コーヒーショップ・店内

  下 田「盗まれたのではないんですか」
  恵美子「違います」
  下 田「どこでなくされたか心当たりは」
  恵美子「たぶん電話ボックス――」
   徹 「電話ボックス!!」
              微かに恵美子が唇を尖らす。
  下 田「どこの電話ボックスですか」
  恵美子「警察署を過ぎたところ」
  下 田「署の近く――」
  恵美子「ブドーグヤさんの前」
  下 田「ブドーグヤ?」
  恵美子「おめーん」
              と、剣道の面打ちの仕草をする。
   徹 「井上武道具店」
  恵美子「はい、それです」
  下 田「よく利用されるんですか」
  恵美子「は?」
  下 田「いや、その電話ボックス」
  恵美子「たまに」
  下 田「お住まい、すぐ近くなのに」
  恵美子「電車を降りて、用を思いだしたので急いで」
   徹 「(電話のように)いま電車降りた。なんか買ってく?」
  恵美子「私、一人暮らしです」
  下 田「携帯電話は――」
  恵美子「持ってないといけません?」
  下 田「いえ、そういう意味では……ただ普通」
  恵美子「普通何ですか?」
  下 田「いえ、たいてい、ほら……」
              と、携帯電話でメールを打つ仕草をしようとするが、
  恵美子「たいてい何ですか?」
  下 田「いや、もといです。よしましょう」
  恵美子「ケータイメール教、ですね」
   徹 「なに、それ?」
  恵美子「電車の中でもみんなそろって携帯見つめて。なんだかお経を唱えて
       いるみたい。……いまに携帯電話不携帯で逮捕されたりして」
   徹 「べつに運転免許じゃないんだから」
  恵美子「あ、ちなみに私、運転免許も持っていません」

       (中略)

  下 田「(ズバリ)電話ボックスじゃなくて、お家で盗まれたんじゃありませんか」
  恵美子「違いますよ」
  下 田「あなたがなくした物は財布とアドレス帳だけではなくて、ハンドバッグ
      ごとそっくりだったんですよねえ。そうじゃありませんか」
  恵美子「……」
  下 田「でもね、女の人が電話ボックスにハンドバッグを忘れますかねえ。あま
      り考えられないことだと思うんですが」
  恵美子「私、その、あまり考えられないドジなんです」
   徹 「あのさア、チャーンと話した方がいいんじゃないの」
  下 田「橘」
  恵美子「チャーンと話してますよ」
   徹 「逮捕しようってんじゃないんだよ。被害届を出してくれって言ってるだけ
      じゃないか」
  恵美子「強制ですか」
   徹 「心配して言ってんだよ、バカ」
  恵美子「無理やり犯罪にしようっていうあなたたちこそバカよ」
   徹 「なんだとォ」
  恵美子「事件の数を増やさなきゃならないノルマでもあるんですか、警察は」
   徹 「事件を未然に防ぐために日夜頑張ってんだよ」
  恵美子「未然を事件にしてしまいそうね、あなたの場合」
   徹 「何だそれ。下手なシャレ言ってる場合か」

       (中略)

  下 田「いいんですよ、経費で落としますから」
  恵美子「あなた方の経費は、つまりは税金でしょ」
   徹 「一言多くない? 君」
  恵美子「あなたは二言多いわ。(下田に)私のために来ていただいたのに、自
      分の分しか出せなくてすみません」
              と、スカートを翻して駆けていく。
   徹 「……カッワイイー」
  下 田「お前、どういう性格してんだ」

*註:撮影時に台詞を直しました。映画の中で恵美子は、
    「二言多くない? あなた」と、徹と同じ言い方をしています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月22日 (水)

『Breath Less』迷言集 vol.10

○S#70 暗い取調室(数部屋並んだ内の一室)

   徹 「服部さん、口止めするつもりなら諦めた方がいいですよ。俺は言いたい
     ことは言いますよ。どこでも誰にでも。たとえ馘になってもね。だた……」
  服 部「……」
   徹 「好きな女(ひと)が悲しむことはしません、俺も男だから。警察という機構
     の一員であるまえにね」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月21日 (火)

『Breath Less』迷言集 vol.9

 今夜は、1行です。
 たった1行ですが、徹にとってはとても大切なスタンスであります。

○S#67 東マンションの前

  徹 「お前となら、一緒に砂を噛む用意がある」

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2006年11月20日 (月)

『Breath Less』迷言集 vol.8

 本館にアランの『幸福論』を持ち出したのでこのシーン。

○S#54 活魚割烹

 恵美子「才能ないの分かってる」
  服 部「また美術館のハシゴをしよう」
  恵美子「諦める勇気がないだけ……」
  服 部「悲観は気分、楽観は意志に属するっていうよ。結果を怖れてたら
      何もできない」
  恵美子「……ありがとう」

『幸福論』の最後にアランは書いています。
「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する」(白井健三郎訳)
 ため息を吐きながら、時々ぼくはこの言葉を自分に言い聞かせます。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006年11月19日 (日)

『Breath Less』迷言集 vol.7

 初日、第七藝術劇場へお越しくださった皆様、ありがとうございました。

 今日はこのシーンを!
 ほんと、人が一生かかって知り合えるのはほんの一握りの人です。
 大切にしたいです。

○S#34 走りだす丸の内線電車の中

   徹 「あの、人が一生で会える一握りの人の中にあなたがいました、って」
  恵美子「それ、私が小学生の頃のコマーシャルです」
   徹 「ワッ、憶えてました。うれしいなあ、僕もまだガキで、でもそう思いませ
     んか、一億二千万人も人がいるのに、一生かかっても知り合えるのは
     ほんの一握りじゃないッスか」
              恵美子が席を移動する。
              徹がついていく。
   徹 「じゃ、これはどうです。遠回りは嫌いです。近道はもっと嫌いです。これ
     最近の」
              恵美子が席を移動する。
              徹がついていく。
   徹 「怒らせたの謝ります。でもほかに、あなたと接する方法が僕には見つ
     からなかったから……。だからお願いです!」
              恵美子がまた移動する。
   徹 「晩飯が駄目ならお茶だけでも、その、抹茶フロートでも」

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年11月18日 (土)

『Breath Less』迷言集 vol.6

 あかまんまさんのリクエストにお応えします。
 とても好評をいただいたシーンなので全部書きます。

○S#80 橘家・玄関内

  源四郎「なんだよ」
              タキシードの徹が酔いつぶれている。
   徹 「クイズ出してみなよ」
  源四郎「四個の金メダルを獲得したカール・ルイスにインタビュアーが訊きま
      した。『四度目の走りはいかがでしたか』。さてなんと答えたでしょう」
   徹 「親父さ、一九八四年から時計止まってるんだろ」
  源四郎「いいから答えろよ」
   徹 「フン、かあるいッスよ、だろ」
  源四郎「なんだ、知ってたか」
   徹 「つき合いきれねェ~。ロサンゼルス・オリンピックの年に生まれたあな
     たの娘はいくつになったと思いますか」
  源四郎「会ったのか」
   徹 「大学入ったってさ」
  源四郎「ああ、プレゼントを贈ったよ、宅急便でな」
   徹 「使い古した万年筆なんかで誤魔化したんじゃないだろうな」
  源四郎「からむじゃないか、今夜は」
   徹 「いつものことだよ」
  源四郎「相談しようかとも思ったんだが、お前に女の子の喜ぶ物がわかるわ
      けないんで勝手に贈った。気に障ったか」
   徹 「ああ、障ったね」
  源四郎「謝る」
   徹 「何贈ったんだよ」
  源四郎「ン……」
   徹 「言えよ」
  源四郎「忘れた」
   徹 「素直じゃないなあ、素直じゃない」
  源四郎「素直じゃないお前の父親だ。素直なはずがない」
   徹 「ボケるなよ、親父。いまボケられたんじゃ、俺、どうしたらいいのかわか
           らんぞ」
  源四郎「いいさ、勝手に病院行くよ、ハイヤー呼んでな。いまのうちから認識証
            でも首にひっかけておくか」
   徹 「息子の名前と連絡先も書いとけよ」
  源四郎「おい、こんなところで目ン玉洗うな、迷惑だ」
   徹 「心の洗濯してんだよ」
  源四郎「心の汚れは目から出るのか、お前の場合」
   徹 「ふつうの人間はそうだぜ」
  源四郎「……静かだなあ。お前が泣きやんでくれればもっと静かなんだが」
   徹 「お袋にもそう言ったことがあるだろう」
  源四郎「バレたか。お前が生まれる三百十五日ほど前だ」
   徹 「(泣き笑い)ますますつき合いきれねえよ」

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2006年11月17日 (金)

『Breath Less』迷言集 vol.5

 shironさんのリクエストをもうひとつ。

○S#81 『GRAY HOUSE』

  服 部「よくわかったな」
   徹 「一応デカしてますから。転職はまだ考えてないです」
  服 部「君はあの娘の気持ちが推理できるか」
   徹 「手がかりは足で稼げって教わりました」
              服部はフンと鼻で嗤う。
  服 部「引っ越しが決まったとき、人手はあるとあの娘は言った。新しい住所と
      電話番号のメモをくれてね。その住所には確かにマンションがあった。
      だが彼女は住んではいなかった。僕はてっきり君に鞍替えしたんだと
      思ったよ」
   徹 「なんで辞めたんですか」
  服 部「人は変わるってことかな」
   徹 「変わらないものだってあります」
  服 部「変わるってそんなに悪いことかい?」
   徹 「変わらないってそんなにいけないことですか?」
  服 部「一通だけ手紙がきた」
   徹 「(バーテンダーに)もう一杯だけもらいます」
  服 部「『ありがとう』と二十二個書いてあった。何故二十二個なのか、考えた
           がわからない」
   徹 「消印は?」
  服 部「杉並だ。引っ越しの途中で投函したんだろう」
              バーテンダーが徹のグラスにラムを注ぐ。
  服 部「恥ずかしい話だが、知らないことの方がずっと多いのだということをこの
      齢になって学んだ」
   徹 「真摯に己を見つめる人は、年を重ねるほど分からないことが増えるのに
           気づくはずだ、と誰かが言ってました」
  服 部「誰だい、そんなことを言ったのは」
   徹 「忘れました」

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年11月16日 (木)

『Breath Less』迷言集 vol.4

 shironさんのリクエストに応えて──

○S#75 パールセンター(深夜)

              徹と下田が歩く。
  下 田「俺、寮出るぞ」
   徹 「(驚き)辞めるんですか、辞めて何やるんです?」
  下 田「辞めるとは言ってねえよ。寮を出るんだ」
   徹 「でも所帯持たないかぎり出られませんよ」
  下 田「だからそれだよ。俺が結婚したらおかしいか?」
   徹 「はい」
  下 田「この野郎」
   徹 「でもよく決心できましたね」
  下 田「(テレて)勢いだよ、勢い」
   徹 「いえ相手の女性が」
  下 田「(急にしんみりする)……」
   徹 「すみません」
  下 田「考えてみたんだけどさ、気持ちがうまく伝えられなくて、勢い暴力になって
      しまうのかなあ」
   徹 「雄が雌を苛める動物は人間だけだって――」
  下 田「お前みたいにおしゃべりだといいんだろうけどな」
   徹 「いくらしゃべっても伝わらないことだってありますよ。肝心なことは言葉では
     伝えられないんだ」
  下 田「それにしちゃあ、よくしゃべるよ、お前」
   徹 「往生際が悪いんです。でもね、言葉では何も伝わらないからこそ、できるだ
     け言葉にしようって思うんですよ。できないからってしないでいるより、肝心
     なことは何も伝えられないかもしれないけれど、肝心なことに到達するため
     の何かは伝えられるかもしれないって思うんです。うっとうしいでしょう」
  下 田「うっとうしいなあ」
   徹 「うっとうしいですよねえ。でもどうやってプロポーズしたんです?」
  下 田「教えない」

 日本の映画界では長い台詞は敬遠されます。
 短い台詞のやりとりにしないと芝居のテンポがはずまないと考えられているからでしょう。
 確かにそれは正しいことではあるけれども、ぼくは時折、意識的に長~い台詞を書きます。敢えて自ら困難に向かうことも、物作りには必要だからです。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006年11月15日 (水)

『Breath Less』迷言集 vol.3

 このシーンはたいへん好評をいただいたので全部書きます。

○S#21 橘家・居間兼仕事場

  源四郎「今日は何だ」
   徹 「たまには小遣いでもやろうと思ってさ」
  源四郎「くれ」
   徹 「ジョーダン」
  源四郎「くだらねえ冗談がうけると思っているうちはまだガキだな」
   徹 「帰るよ」
  源四郎「さよなら」
   徹 「そりゃあないだろ、ひとりで寂しいだろうと思って来てやったのに」
  源四郎「なにか盗まれちゃたいへんだからな」
   徹 「これでも法の番人だぜ」
  源四郎「余計質が悪い。お前の給料のX分の一は俺の税金だからな。すでに
      盗まれている。ついでに言うとお前のDNAの二分の一は俺のものだ」
   徹 「クソッ、なんとでも言え」
              と冷蔵庫からビールを取り出す。
   徹 「親父は?」
  源四郎「一杯だけもらう」
              と散らばった原稿用紙を束ねる。
   徹 「少年が夏休みに筏作って川下りする話なんてもう古いぜ。トム・ソーヤ
     だってあきれる」
  源四郎「ほっとけ」
   徹 「親父もパソコンでポルノ書けよ。売れるぜ」
  源四郎「ポルノは書くもんじゃなくてやるもんだ。お前の場合はかくばかりだろう
      けどな」
   徹 「オッ危険な発言。だけど生きてること自体がちょっと長めのオナニーじゃ
     ないか。親父の小説だってヌード写真に飛び散った精液と変わりゃしな
     いさ」
  源四郎「ほほう、少しはものごとが分かってきたみたいだな」
  徹 「クソしてこ」
              とトイレに入る。
  源四郎「おい、あまり沢山するなよ。流れが悪いんだから」
  徹の声「まだ直してないのかよ、まいるなあ」
  源四郎「こまめにやれ」
              温かな静寂――。父は息子のグラスにビールをついでやり、それから
       自分のグラスに注いで飲む。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006年11月14日 (火)

『Breath Less』迷言集 vol.2

○S#20 橘家・木戸

   徹 「あれやめて、なんて言いつつパンツ自分から下ろして、ああっ、うふん、
     クソッ、老いらくの恋は切なく激しく……痛ッ!」
              父・源四郎が下駄で殴りつけたのだ。
  源四郎「それでも刑事か、お前」
   徹 「痛いなあ、コブできたぞ。傷害の現行犯だぜ」
  源四郎「その前に名誉毀損で訴えてやる。公務員凌辱罪だってある」
              ともう一発脳天に下駄を見舞う。
   徹 「もう確信犯だぞ! 殺意の存在が認められる」
  源四郎「バカ、未必の故意だ。(鈴江に)どうも失礼なことを言ってすみません
      です」
  鈴 江「いえ、あの、ヒミツの恋って……?」
  源四郎「ああ、未必です。こうしたら死ぬかもしれない、それでもかまわないと
      思ってやる行為のことでして」
   徹 「秘密の恋とたいしてかわンないよ」
  鈴 江「はあ……。徹ちゃん大丈夫?」
  源四郎「なあに、このくらいでへたばるようなら世話ないです」
   徹 「でもけっこうきいたぜ」
  源四郎「入るんならさっさと入れ、権力の犬」
              と中へ入ってしまう。
   徹 「うるせえな、小市民」
              鈴江は目をパチクリするばかり。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月13日 (月)

『Breath Less』迷言集 vol.1

 11月12日、昭和女子大学での上映会はとても楽しかったです。
 殊に、上映後の意見交換会では全員の方に意見や感想をいただき、とても心に沁みました。作り手としては至福の時でありました。
 このブログで話題になった“缶蹴り娘”に関してもさまざまな意見をいただきました。
 そして、ぼく自身の考えも話しました。
 このブログでは、これからご覧になる方に予断を与えたくないという理由から、まだぼく自身の考えは発表しておりません。
 しかし、もうそろそろお話しするべきだと思います。
 大阪・第七藝術劇場での上映(11/18~24)が終了したら、ぼく自身の考えを書こうと思います。

 話は変わりますが、「この作品には気になる台詞がたくさんある」と言ってくださる方がたくさんいます。脚本家にとって、これもまたたいへんうれしいことであります。
 そこで『Breath Less』迷言集を始めることにしました。
 脚本の一部を抜粋して、少しづつ掲載します。
 こんな莫迦をやる脚本家はほかにはいないでしょう、たぶん。
 シーンのナンバー、タイトルも記しておきます。
 ぼくの勝手な選択で抜き出しますが、もしあのシーンをというリクエストがありましたらコメントをください。可能なかぎりお応えしようと思います。
 では今夜はこのシーン。

○S#8 徹のブルースバンドが演奏する

     徹がマイクスタンドを手に語りだす。
 徹 「みんな、もう、知ってると思うけど、俺、今夜で、看守、終わりですッ」
     「イエーッ!」と檻々から歓声があがる。
 徹 「明日からは、刑事です」
 声 「いよッ! 日本一のデカになれよ!」
 徹 「ありがとう! 最後の、と言うか、最初のと言うのか、わからないけれども、
    お願いしますッ! 俺に、手錠を、使わせないでッ!」
     檻々から歓声と握り拳が突き出された。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年5月 | トップページ